J1リーグだけでなく、今回の東京オリンピックにもVARが入っているので、「オフサイドディレイ」という用語を耳にすることがだいぶ増えてきたように感じます。
前回のオフサイドのルールの説明に続き、 num-11235.hateblo.jp サッカーのルールにあまり詳しくない方にもできるだけ分かりやすいように説明したいと思います。
オフサイドディレイってなに?
通常、「オフサイド」は、副審が旗を上げてオフサイドの反則があったことを主審に知らせ、主審が笛を吹いてプレーを止めます。
しかし、VARが入っている試合では、ぎりぎりでオフサイドがあった場合、副審が「これはオフサイドだ」と判定していても、あえて旗を上げずにプレーを続けさせることがあります。
これを、「オフサイドディレイ」と言います。
まとめると、
- VARが入っている試合限定
- ぎりぎりオフサイドのときに副審が使うワザ
です。
どんなときにオフサイドディレイするの?
オフサイドディレイは、上の画像のとおり、ぎりぎりオフサイドのときに行います。J1リーグでは、オフサイドラインから2mを目安に運用しています。
副審は、オフサイドと判定しても、旗を上げず、コミュニケーションシステム(審判員同士で無線で話しているアレ)でディレイ(旗を上げるのを遅らせていること)を主審に伝えます。そして、ゴールが決まる、あるいは得点チャンスがなくなったところで旗を上げて、オフサイドであることを示します。
どうしてオフサイドディレイするの?
オフサイドぎりぎりの場合、副審がオフサイドだと思っても、オフサイドではなかったということが、VARによるチェックで判明することがあります。
そうなると、ゴールとなるべきプレーだったのに、その前に旗が上がったのを見た主審が笛を吹いてしまい、アウトオブプレー、つまり幻のゴールになってしまいます。サッカーの一番の醍醐味であるゴールがせっかく決まったのに、認められなくなってしまう。これはいけません。
このようなことを防ぐためにオフサイドディレイというワザを使います。
映像で実例を確認しましょう。2021J1リーグ 川崎vsC大阪 81分です。
川崎Fの田中碧選手のパスが出たとき、家長選手はオフサイドポジションでした。画面上部の副審をよく見ると、家永選手がボールを受けたあと、一瞬、旗を上げそうになっているの、分かりますか。今までなら、あのタイミングで旗を上げていましたが、VARがある試合ではこのように、旗を上げずにそのままプレーを続けさせます。
もう一例いってみましょう。2020J1リーグ 横浜FMvsG大阪 34分です。
G大阪のGK東口選手からのパスを倉田選手が受けたとき、副審は倉田選手がオフサイドの反則と判断してオフサイドディレイをしていて、矢島選手のシュートが決まったところで旗を上げました。
しかしこのプレー、実は倉田選手はオフサイドではありませんでした。(オフサイドポジションにいた選手は他にいたが、倉田選手はオフサイドポジションではなかった)
そう!これを幻のゴールにしないために、オフサイドディレイはあります。
こういうときはオフサイドディレイしません
副審がオフサイドと判定したものが、VARの介入でオフサイドではないとされることで幻のゴールになるのを回避するのが目的ですから、VARが介入して判定が変わる見込みがない場合は、ディレイする必要がありません。
上の画像のような場合は、当然、副審は直ちに旗を上げます。決して副審がオフサイドの判定を放棄しているわけではないのです。
まとめ
ここまでお読みいただいて、ご理解いただけたでしょうか。
VARが入っている試合で繰り出されるワザですが、VARによって後からオフサイドに判定が変わることをオフサイドディレイというのではありません。
ワザを使う主体は副審です。参考までに、プロフェッショナルレフェリーの八木あかねさん(元国際副審)のこちらのツイートもどうぞ。
オフサイドディレイは副審が使う技なんだけどなぁ🏁
— 八木あかね (@otokodetsuraiyo) 2021年3月16日
【得点→オフサイド】
VARは明白な間違いを正しただけで、
オフサイドの判定を遅らせたわけではない。
得点後にVARがチェックしてオフサイドに判定が変わることがオフサイドディレイと呼ばれている節がある。
それこそ明白な間違いとちゃうんかな