2024年3月1日、J1リーグ第2節 川崎フロンターレ対ジュビロ磐田の試合は、4-5という激しいスコアでジュビロ磐田が勝利しました。
この試合の決勝点となった後半AT。磐田のジャーメイン選手が勝ち越しゴールを決めたかに見えました。しかし、この直後VARが介入、飯田淳平主審はオンフィールドレビューを行って判定は守備側のハンドに変更、ゴール取り消し→PKという珍しいシーンとなりました。
結論だけ考えると、攻撃側にとってはそのままゴールを認めてもらえればよいように思われますが、なぜこのような判定になったのかを考察します。
なぜノーゴールになったのか
ジャーメイン選手のシュートは確かにゴールに入っており、飯田主審も一度はゴールを認めていました。
しかし、このシュートが打たれる直前、ジャーメイン選手が川崎の瀬川選手と競り合った際、瀬川選手がはじいたボールが直接手に当たっていました。
通常、近くにいた別の競技者の頭または体(足を含む)から偶然手や腕に触れた場合はハンドの反則になりません。
しかし、触れたこと自体ではハンドとみなされなかったとしても、その直後に自らシュートを打って得点を決めた場合は、結果としてハンドの反則となります。
そこで、VARは「この得点は認められないのではないか」として介入し、主審にオンフィールドレビューを勧めました。
その結果、ジャーメイン選手は手に触れた直後にシュートを打っているので、得点は認められないことが確認されました。
なぜPKになったのか
しかし、ジャーメイン選手と競り合っていた瀬川選手も、ジャーメイン選手の手にボールが触れる直前、腕にボールが当たっていました。
つまり、時系列で言うと、
- 瀬川選手の腕にボールが当たる
- ジャーメイン選手の手にボールが当たる
- こぼれたボールをジャーメイン選手がシュートし、ゴールに入る
ということになります。
当初の判定は、1.のハンドをアドバンテージで流して、3.でゴールを認めたことになりますが、オンフィールドレビューの結果、2.で直前にシュートを打った攻撃側競技者自身の手にボールが当たっていることを確認したので、強制的にハンドの反則でジャーメイン選手のゴールは認められなくなりました。
しかし、時系列的にはその前に瀬川選手がハンドの反則をしているので、そちらが採用され、PKの判定となりました。
中継画面左下にある「VARDict*1」の表示が
「ゴール確認中 - 攻撃側によるハンドの可能性」
↓
「PK確認中 - ハンドの可能性」
と変化したことも、このような理由からだと考えられます。
上原キャプテンの対応が素晴らしい!
ゴールを取り消されて判定がPKに変更されたことに、磐田の選手は納得ができず飯田主審に詰め寄りますが、磐田のキャプテン 上原選手が、選手たちと飯田主審の間に入って離れるように指示します。
そのあとも、飯田主審の説明を冷静に聞いて、状況を把握したようです。混乱なくゲームが進みました。素晴らしい対応でした。
まとめ
結論だけを切り取ると、
ゴール取り消し→PK
ですから、なぜ?!と思った人は多かったかもしれません。しかし、このように整理していくと、このような結論に至ったのは問題ないことが分かると思います。いずれにせよ、珍しい事象であったことは確かです。
*1:ビデオマッチオフィシャルがチェックしている事象をスタジアム内の大型映像装置やインターネット中継・TV放送に自動連係できるシステム