2024年4月7日のJ1リーグ第7節は、ゴールキーパーによるDOGSOが3事象起こる〝祭り〟状態になりました。
今回は、それぞれの事象について解説していきます。
そもそもDOGSOとは?
DOGSO(ドグソ)とは、Denying an Obvious Goal-Scoring Opportunity の略で、日本語に訳すと、「決定的な得点機会の阻止」のこと。試合中、守備側競技者が反則を犯したとき、以下の4要件をすべて満たしている場合、その競技者は退場になります。
- 反則とゴールとの距離
- 全体的なプレーの方向
- ボールをキープできる、またはコントロールできる可能性
- 守備側競技者の位置と数
このとき主審は、反則が起こった時の状況を、頭の中で「写真を撮ったように」イメージして、4要件を満たしているかどうかを確認します。
▼DOGSOについて詳しくはこちらで。
それでは、それぞれの事象についてみていきましょう。
川崎F vs 町田 70:22
川崎の小林選手がスルーパスでゴール前に抜け出しました。町田のGK谷選手はペナルティーエリアを飛び出してスライディングしましたが、小林選手の足を引っかけ、小林選手は転倒しました。
- 反則とゴールとの距離 : PA前であり、十分に近いです。
- 全体的なプレーの方向 : ゴール正面からゴールに向かってプレーしています。
- ボールをキープできる、またはコントロールできる可能性 : 小林選手がドリブルして谷選手をかわした瞬間なので、コントロールできているといえます。
- 守備側競技者の位置と数 : GKが飛び出し、ゴールは無人の状態です。
というわけで、山本主審は迷わず谷選手にレッドカードを提示、一発退場となりました。
神戸 vs 横浜FM 74:09
横浜の水沼選手が前線にボールを大きく蹴りだしました。ディフェンスラインを突破したヤン選手がペナルティーエリアのライン付近で足元にボールを収めた瞬間、このボールをクリアしようと飛び出した神戸のGK前川選手の足がヤン選手の腹部を蹴ってしまいました。
- 反則とゴールとの距離 : PA前であり、十分に近いです。
- 全体的なプレーの方向 : ゴール正面からゴールに向かってプレーしています。
- ボールをキープできる、またはコントロールできる可能性 : ヤン選手がちょうど足元にボールを収めたところなので、ボールをキープできているといえます。
- 守備側競技者の位置と数 : ヤン選手の右側から神戸のDF初瀬選手が走りこんできていますが、間に合っているとは言い難いですし、GKが飛び出したのでゴールは無人の状態です。
というわけで、池内主審は前川選手にレッドカードを提示しました。
このシーンでは、ペナルティーエリア内でのファウルの可能性があるとしてVARがチェックを行いましたが、判定の変更はありませんでした。
ペナルティーエリア内でのファウルであるとなった場合は、前川選手はボールにプレーしようと試みた結果なので、懲戒罰が1段階下がり、レッドカードが取り消されてイエローカードになるところでした。
広島 vs 湘南 47:08
広島の加藤選手からのスルーパスがペナルティーエリア内に抜け、ディフェンスラインを抜けだした大橋選手がこれに合わせようとして、湘南GKソン選手と1対1になりました。ソン選手をかわそうとした大橋選手に、ソン選手は腕を伸ばして抱き着くような格好になり、そのまま倒してしまいました。
- 反則とゴールとの距離 : PA内であり、文句なく近いです。
- 全体的なプレーの方向 : ゴール右側からゴールに向かってプレーしています。
- ボールをキープできる、またはコントロールできる可能性 : スルーパスにGKソン選手が触れて浮いたボールを大橋選手が胸でトラップしてゴール方向にコントロールしています。
- 守備側競技者の位置と数 : GKが前に出たため、ゴールは無人の状態です。
ソン選手はPA内での反則ですが、ボールにプレーしようと試みた、またはボールに向かうことで相手競技者にチャレンジした状況ではないため、懲戒罰の1段階下げには当たりません。すなわちDOGSO三重罰(PK、退場、次節出場停止)となります。