まさか日本シリーズで2度も起こるとは…!私もびっくりです。
天井に打球が入る事象が起こる都度、「エンタイトルツーベース」や「テイクツーベース」を調べていらっしゃる方も多いようなので、今回の事象をもとに解説を書くことにしました。
天井に打球が入り込む大飛球!
2023年11月4日、日本シリーズ第6戦 オリックスvs阪神の2回 無死一塁から、杉本選手が放った飛球がレフト線上に打ち上がり、京セラドームの天井「スーパーリング」に入り込んでしまいました。
審判団の判定は…
天井がなかったらホームランだったかもしれない大飛球でしたが……
責任審判の川口さんの説明は、
「グラウンドルールでツーベースで試合再開します」
ということで、安全進塁権2個(二塁打の扱い)が与えられ、走者二・三塁で再開となりました。
球場ごとに定められたグラウンドルール
野球のルールは公認野球規則で定められていて、フェアの打球がワンバウンドしてからスタンドに入った場合や、フェンスの隙間に挟まって取れなくなった場合などにエンタイトルツーベースとするようなルールが定められています。
しかし、球場の形状によっては、通常のルールだけでは対応できない事象が起こることがあります。ドーム球場の天井に当たった場合は、まさにそういう状況。
このような時は、球場の状況に応じて別途ルールを定める必要が出てきます。これをグラウンドルールといいます。
京セラドーム大阪のグラウンドルールは…
京セラドーム大阪では、以下のとおりグラウンドルールが定められています。
① 打球がフェア地域上の天井もしくはスーパーリングに当たった場合、またはスーパーリングの内側に入り直ぐに落ちてきた場合はボールインプレーとする。打球がファウル地域の天井に当たった場合はボールデッドとする。
② 打球がフェア地域内にあるスーパーリングの内側に入り落下しない場合はボールデッドとして、打者及び走者には投球当時を基準にして2個の安全進塁権が与えられる。
③ 打球がフェア地域上にある一番外側のスーパーリングに当たった場合、および中堅のフェンス上の天井にある懸垂物に当たった場合は本塁打とする。
④ 打球がフェア地域上にある一番外側のスーパーリングと次のスーパーリングの間に当たった場合は、本塁打とする。
ちょっと分かりづらいですよね。
第2戦の中継を担当したテレビ東京の字幕では、やや簡略化してはいますが、条件によって整理されていて、とても分かりやすくなっています。
グラウンドルールの原文を確認し、これにしたがってルールを適用することは当然なのですが、ルール自体を書くとき、できるだけわかりやすく書くこともまた大切なことだと思います。
テレビ東京の字幕を踏まえて京セラドーム大阪のグラウンドルールを整理して書き直すと、このようになるでしょうか。
- 打球がファウル地域の天井に当たった場合は、ボールデッドとする。
- 打球が次のようになった場合は、本塁打とする。
○フェア地域上にある一番外側のスーパーリングに当たった場合
○フェア地域上にある一番外側のスーパーリングと次のスーパーリングの間に当たった場合
○中堅のフェンス上の天井にある懸垂物に当たった場合 - 打球がフェア地域上の天井に当たった場合、またはスーパーリングの内側に入り直ぐに落ちてきた場合はボールインプレイとする。
- 打球がフェア地域上にあるスーパーリングの内側に入り落下しない場合はボールデッドとして、打者及び走者には投球当時を基準にして2個の安全進塁権が与えられる。
日本初のドーム球場、東京ドームの特別ルールは?
2019年時点のものではありますが、次のようなルールになっています。
- 打球が、フェア地域上の天井や懸垂物に当たった場合は、ボールインプレイとする。
ファウル地域上の天井や懸垂物に当たったり、穴や隙間に入り込んだ場合は、ボールデッドとする。- 打球が、フェア地域内にある天井の穴または隙間に入り込んだ場合、あるいは懸垂物に挟まった場合は、ボールデッドとし、打者および走者には投球当時を基準にして二個の安全進塁権が与えられる。
- 内野から外野にかけてフェンス上にボールが留まった場合は、ボールデッドとする。ただし、バックネットの低いフェンス上にボールが留まった場合は、ボールインプレイとする。
- ボールボーイ用の椅子にボールが当たってプレイングフィールドに跳ね返った場合は、ボールインプレイとする。ただし、ダッグアウトの屋根の上に留まるか、ひさしに当たった場合は、ボールデッドとする。
- エキサイトシート内にボールが入った場合は、ボールデッドとする。ただちにプレイングフィールドに跳ね返った場合もボールデッドとする。
- ボールがカメラマン席に留まった場合は、ボールデッドとする。ただちにプレイングフィールドに跳ね返った場合もボールデッドとする。
ドーム球場じゃなくてもグラウンドルールはある!
ドーム球場の天井ルールはもちろんですが、それぞれの球場にグラウンドルールは設けられています。挙げだすときりがないので、阪神甲子園球場と、MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島のグラウンドルールをご紹介。
阪神甲子園球場グラウンドルール
(1) ボールがダッグアウト(一塁ダッグアウト横の通路も含む)前面に引いてある黄線を超えた場合はボールデッドとする。(プレイングフィールドに跳ね返ってもボールデッド)
2) 本部席屋根の上に引いてある黄線を超えた超えた場合はボールデッドとする。
(プレイングフィールドに跳ね返ってもボールデッド)(3) カメラマン席前面に引いてある黄線を超えた超えた場合はボールデッドとする。
ただちにプレイングフィールドに跳ね返った場合もボールデッドとする。
甲子園球場スタジアムツアーに行ってみた - もっと知りたい!甲子園 - 甲子園へようこそ! By 西宮流
MAZDA Zoom-Zoom スタジアム広島グラウンドルール
① ボールが、ダッグアウト、カメラマン席及び砂かぶり席に入った場合は、ボールデッドとする。
(カメラマン席前部のラバーフェンス上部は、ボールインプレイとする。)
② 左翼ホームランポールからセンター方向に向かって約11.5mの範囲内においては、2層目観客席のフェンス上部の黄色のラインを越えた場合は、本塁打とする。
③ 内野から外野にかけてのフェンス上にボールが留まった場合はボールデッドとする。
『マツダスタジアム・スタジアムツアー』広島市(広島県)の旅行記・ブログ by Lailaさん【フォートラベル】
まとめ
京セラドーム大阪の天井に打球が入り込んだ場合は、グラウンドルールによってエンタイトルツーベースとすることになっています。これは、京セラドーム大阪の独自ルールということになります。
グラウンドルールは球場の形状によって公認野球規則で定めきれない細かな内容について取り決めたもので、球場が変わればルールが変わります。
なお、公認野球規則で定められているテイクワンベースやテイクツーベースといったルールについては、以下の記事で解説していますので、参考にどうぞ。