
※この記事は、ボークの基本(13種類)をすでに理解している方向けの「応用・例外処理」の解説です。
原則は「ボーク=即ボールデッド」ですが、実際の試合では ボークが宣告された投球を打者が打ってしまう(=打っちゃった!) という場面が起こることもあります。
「そうなったらどうするの? 審判はプレイを止める?それとも続けさせる?」
そんな疑問に答えるのが、この記事です。
▶︎ ボーク13種類の基本(どんな動きが反則か)を一覧で確認したい方は
まずはこちらの「動くボーク図鑑」を先にご覧ください。
大原則:ボークはボールデッドです
ボークは原則としてボールデッドになります。
審判員は投手を指差してボークを宣告した後、両手を挙げてプレイを止めるのが基本的な対応です。

ボークにも関わらず投手が投げたら…
ボークにも関わらず投手が投球したり、牽制球を投げたりしたときは、審判員は投手を指差してボークを宣告しますが、そのボールが捕手や野手に捕球されて止まるまではタイムをかけません。また、打者がボークの投球を打ったときは、プレイが一段落するまでそのまま継続します。
このような対応になっている理由は、ボークについてのルールのペナルティの、「ただし」以降に書かれていることを読んでいくとわかると思います。
公認野球規則6.02(a) ボーク ペナルティ
ボークが宣告されたときは、ボールデッドとなり、各走者は、アウトにされるおそれなく、1個の塁が与えられる。ただし、ボークにもかかわらず、打者が安打、失策、四球、死球、その他で一塁に達し、かつ、他のすべての走者が少なくとも1個の塁を進んだときには、このペナルティの前段を適用しないで、プレイはボークと関係なく続けられる。
【規則説明1】 投手がボークをして、しかも塁または本塁に悪送球(投球を含む)した場合、塁上の走者はボークによって与えられる塁よりもさらに余分の塁へアウトを賭して進塁してもよい。
【規則説明2】 (a)項ペナルティを適用するに際して、走者が進塁しようとする最初の塁を空過し、アピールによってアウトを宣告されても、1個の塁を進んだものと解する。
【注】 前掲〔規則説明1〕の〝悪送球〟には、投手の悪送球だけではなく、投手からの送球を止め損じた野手のミスプレイも含まれる。走者が、投手の悪送球または野手のミスプレイによって余塁が奪えそうな状態となり、ボークによって与えられる塁を越えて余分に進もうとしたときには、ボークと関係なくプレイは続けられる。
ややこしいですよね。
- 例外1 打者が、打者走者になるとき
- 例外2 打者走者にならないが、ボールがまだ動いているとき
この2つの例外に整理して考えてみましょう。
例外1 打者が、打者走者になるとき
具体的には、次のような場合が考えられます。
- ボークの投球を打者が打ったとき
- その投球で四死球になるとき
- その投球で振り逃げが成立するとき など
打者走者も含めて、全ての走者が1つ以上進塁できたら、ボークを取り消してプレイの結果を生かします。しかし、打者走者を含む走者のうち、誰か一人でも進塁できなかったら、プレイを投球当時まで戻してボークを適用します。
例外1の具体例
① 走者一塁で、打者がボークの投球を打ってヒットになった
- 打者走者も一塁走者も進塁できているので、ヒットはそのまま有効になります。
② 走者三塁で、打者がボークの投球を打って犠牲フライになった
- 打者走者がアウトになっているので、打者走者を含む全ての走者が進塁したことになりません。フライが捕球された時点でボールデッドとなり、投球当時に戻してボークを適用し、三塁走者は得点、打者は打ち直しになります。
③ 走者二塁で、ボークの投球を長打にした。二塁走者は得点したが、打者走者が三塁でアウトになった。
- 打者走者、二塁走者とも1つ以上先の塁に進めているので、ボークは取り消しとなり、プレイの結果がそのまま生かされます。二塁走者の得点も、打者走者の三塁アウトも有効です。
④ 走者一・二塁で、ボークの投球が死球になった
- 死球によって走者は2人とも押し出されますから、打者走者を含む全ての走者が進塁できるので、死球の結果を生かします。
⑤ 走者一・三塁で、ボークの投球が四球になった
- 四球になっても押し出されるのは一塁走者のみで、三塁走者が進塁できません。よってボークを適用し、三塁走者が本塁へ、一塁走者が二塁へ進み、打者は元のボールカウントからの打ち直しになります。
⑥ 走者一塁で、ボークの投球を打とうとしたら、打撃妨害で打てなかった
- 打撃妨害で打者に一塁を与えると、一塁走者が押し出され、打者走者を含む全ての走者が進塁できる結果になります。この場合は、打撃妨害を宣告します。
⑦ 走者一・三塁で、ボークの投球を、打撃妨害を受けながら打者がショートゴロを打った。一塁走者が二塁でアウト、打者走者は一塁セーフ。三塁走者はこの間に本塁に進んだ。
- 打撃妨害なら監督の選択権が発生する場面ですが、打撃妨害を選んでも成り行き通りの結果を選んでも、打者走者を含む全ての走者が1つ以上進塁できる結果にはなりません。
そのため、この場合は打撃妨害ではなく、投球当時に戻ってボークのペナルティを適用します。三塁走者は得点、一塁走者を二塁に進め、打者は打ち直しです。
例外2 打者は打者走者にならないが、ボールがまだ動いているとき
- ボークにもかかわらず投手が牽制球を投げて悪送球になった場合
- ボークにもかかわらず投手が投球して、暴投や捕逸になった場合 です。
このときは、野手がボールを拾うなどしてプレイが一段落するまではボールデッドにしません。そして、プレイの結果、塁上の全ての走者が1つ以上進塁できていたら、そのプレイを生かします。誰か一人でも進塁できなかったら、プレイを戻し、ボークを適用します。
例外2の具体例
① 走者二・三塁で、投手がプレイに関係ない一塁に送球した
- 関係ない塁への送球はボークですが、ボールが転がっているのでプレイ続行です。野手がボールを拾った時点で、三塁走者、二塁走者が得点しているので、ボークは取り消しでプレイを生かします。
② 走者一・二塁で、二塁牽制がボーク、しかも悪送球となった。二塁走者は三塁を回って本塁に到達したが、一塁走者は二塁に進まなかった。
- 一塁走者が二塁に進めていないので、投球当時に戻ってボークを適用し、走者二・三塁で再開です。二塁走者はがんばって走りましたが得点は取り消されます。
まとめ
ボークにも関わらずプレイが続けられた場合の処置の仕方は、表のようになります。

ボークのペナルティは、全ての走者に1個の安全進塁権です。ボークにも関わらずプレイが続けられた結果、誰か一人でも1つ以上進塁できない走者がいる場合は、審判員が粛々とボークのペナルティを適用します。
以上を頭に入れておけば、ボークなのにプレイが続いたときの処置もきっと大丈夫。思い切って審判してください!