2023年8月12日、ロッテvs西武の9回ウラ、サヨナラのシーンだったのですが、まさかの展開で、観戦していた皆さんからは疑問が上がっています。私が確認できた映像をもとに、分かる範囲で解説します。
どんなプレイだったのか
2対2の同点で、9回ウラ一死二・三塁。荻野選手がセンターフライを打ちあげます。
試合を決めたベテランの一打!#荻野貴司 選手の犠牲フライでサヨナラ勝ち!#chibalotte #BSW #MarinesBaseball pic.twitter.com/qrdNNgIWcg
— 千葉ロッテマリーンズ (@chibalotte) 2023年8月12日
センターからの送球が三塁側に大きくそれ、捕手の古市選手は送球を追おうとして三本間の走路に出て、三塁走者の岡選手と接触。古市選手は立ち上がれず、岡選手が本塁に触れました。球審はセーフの判定。
コリジョンルール適用か?
コリジョンルールとは、公認野球規則6.01(i) 本塁での衝突プレイのことを指します。端的にまとめると、
(1) 得点しようとしている走者が捕手に向かってタックルすることの禁止
(2) 捕手がボールを持たずに得点しようとしている走者の走路をブロックすることの禁止
(1)に違反したと審判員が判断したら守備妨害。(2)に違反ならば走塁妨害で得点です。
捕手がブロックしたことのみを指して「コリジョン」という人が見られますが、半分正しくて半分不正確です。
※コリジョンルールについて詳しいことは、過去に書いたものになりますが下の記事で。
今回のプレイでは、現に走者と捕手が接触しています。これがサヨナラのシーンでなければ、球審がタイムをかけ、守備妨害か走塁妨害かのどちらかが宣告される状況です。
どっちだ?と言われたら、私は走塁妨害と判定します。
理由は、完全に送球がそれてしまっているので、捕手は確かにボールを捕ろうとして動いているのですが、結果的にボールを持たずに走路に入ったとみなされるからです。
というわけで、松井監督はコリジョンルールに関するリクエストは行っていません。岡選手のタッチアップ(公認野球規則用語ではタッグアップといいます)の時の離塁のタイミングについてリプレイ検証してほしいとリクエストしました。
リプレイ映像がない!?
責任審判の本田さんは、「リプレイ映像がありませんので、判定通り得点とします。」とのことでした。
タッグアップの判定で重要なのは、捕球の瞬間と、三塁走者の足を同時に両方見ることです。三塁塁審の、名幸さんのポジショニングをご確認ください。
リプレイ映像あるよ
— りょーま🦎🦎 (@CLM_Ry) 2023年8月12日
#chibalotte https://t.co/bWsDVomXlB pic.twitter.com/CJ9QGinEqb
この通り、三塁走者の足と捕球の瞬間(より正確には野手が打球に触れる瞬間)が同時に見られる位置に移動して、タッグアップが正しく行われたかを見ています。
タッグアップが起こるときには必ず確認しなければいけないことで、このポジショニングはさすがプロの審判員!といったところなのですが、逆に言うとリプレイ検証の際にこの角度の映像が必要なのは考えれば分かりそうなこと。この角度にリクエスト検証のためのカメラがないということが、正直なところ、私は信じられないという感想です。
なお、十分お分かりのこととは思いますが、リプレイ映像はテレビ中継を行っている放送局が撮っているものなので、少なくとも審判団には映像がなかったことの責任はありません。
ナイス動画!
先に紹介したりょーまさんの映像では、残念ながら、解像度の問題からか捕球の瞬間が分かりにくかったのですが、下のTOMOKIさんの映像ではばっちり確認できました。
サヨナラ勝ち🙌🙌🙌
— TOMOKI (@TOMOKI_XDYB) 2023年8月12日
リクエストしたのに、リプレイ映像無いってどーいうこと?ww
これリプレイ映像だよ🤣 pic.twitter.com/19I14RONJT
捕球の瞬間、三塁走者の足はまだ三塁ベースについています。タッグアップは正規に行われています。
まとめ
審判員の判定通り、間違いなくサヨナラ犠牲フライです。
この試合ではコリジョンルールが適用されていませんが、接触はありましたから、もしサヨナラのシーンでなければ、走塁妨害(1)項が適用されて接触の時点でボールデッドとなり、三塁走者の得点を認め、二死二塁(二塁走者はタッグアップしていなかったし、できなかったと思う)で再開だったと考えます。