numの野球・サッカーのルール解説

野球やサッカーの観戦をしていて、ルールが分からず「今のはなんでこういう判定なの?」と疑問に思うようなプレーに、競技規則から判定の理由についてアプローチします。

コールドゲーム?継続試合?――野球の試合の打ち切りのルール

高校野球の地方大会などでは、コールドゲームという用語を耳にすることがあります。

途中打ち切りとなる試合のことだと何となくわかっている方も多いかと思いますが、全国大会では聞きませんよね。どういうルールになっているのでしょう。

 

 

コールドゲーム(called game)とは

球審は、試合終了を宣告するときに〝ゲーム〟と宣告します(ゲームセット、とは言いません)。

コールドゲームは、英語でcalled gameと書きます。〝ゲーム〟とcall(宣告)され、球審に打ち切りを命じられた試合のことを、コールドゲームといいます。

途中で打ち切りになる理由は、大きく分けて2種類あります。

  1. 天候や自然災害、球場の設備の故障などでこれ以上試合を続けるのが難しいと判断された場合。
  2. 大会規定により、規定の回に達したときに一定の得点差が開いた場合。

天候不良などによるコールドゲーム

公認野球規則では、上記の「1.」について規則7.01(c)に規定があります。

公認野球規則7.01(c)

 球審によって打ち切りを命じられた試合(コールドゲーム)が次に該当する場合、正式試合となる。
(1) 5回の表裏を完了した後に、打ち切りを命じられた試合。(両チームの得点の数には関係がない)
(2) 5回表を終わった際、または5回裏の途中で打ち切りを命じられた試合で、ホームチームの得点がビジティングチームの得点より多いとき。
(3) 5回裏の攻撃中にホームチームが得点して、ビジティングチームの得点と等しくなっているときに打ち切りを命じられた試合。

この規則により、プロ野球においては試合成立を5回終了としています。

なお、正式試合となる前に試合を打ち切らなければならない場合、球審は〝ノーゲーム〟と宣告します。

得点差によるコールドゲーム

「2.」については、あくまでも各大会における規定であり、公認野球規則には「何回までに何点差がついたらコールドゲーム」のような定めはありません*1

高校野球の大会規定

高校野球の大会規定については、高野連が、高校野球特別規則において次のように定めています。全国大会につながる各地方大会では、得点差によるコールドゲームはこれによって運用されています。

高校野球特別規則21. 得点差コールドゲーム

正式試合となるコールドゲームを採用する場合は、5回10点、7回7点と統一する。ただし、選抜高等学校野球大会全国高等学校野球選手権大会全国高等学校軟式野球選手権大会では適用しない。 

春のセンバツ夏の甲子園において得点差によるコールドゲームがないのは、このように規定されているからです。

得点差コールドゲームのルールを設ける理由

高校野球のように、1つの球場で1日に3〜4試合実施するためにはテンポよく試合が進行することが必要です。

しかし、トーナメント方式という一発勝負(負けたら終わり)の形式で行われる上に、初戦の相手は抽選で決まるため、実力差が大きくあるチームがあたって、四球が続いたり、なかなかアウトが取れなかったりして、試合が次の回に進まないことも想定されます。

そのため、得点差コールドゲームのルールを設け、一定の得点差がついた場合はそこで打ち切ることで、円滑な大会運営、選手の体力面や精神面での負担軽減を図っています。

サスペンデッドゲーム(一時停止試合)

規則によって、後日再開することを条件に打ち切られる試合を、サスペンデッドゲーム(一時停止試合)といいます。

サスペンデッドゲームについて定めた規則は、7.02にあります。

公認野球規則7.02(a)

 試合が、次の理由のどれかによって打ち切られた場合、後日これを完了することを条件としたサスペンデッドゲームとなる。
(1) 法律による娯楽制限。
(2) リーグ規約による時間制限。
(3) 照明の故障、またはホームクラブが管理している競技場の機械的な装置(たとえば開閉式屋根、自動キャンバス被覆装置などの排水設備)の故障(オペレーターの過失を含む)
(4) 暗くなったのに、法律によって照明の使用が許されていないため、試合続行が不可能となった場合。
(5) 天候状態のために、正式試合となる前に打ち切りを命じられた場合、または正式試合のある回の途中でコールドゲームを宣せられた試合で、打ち切られた回の表にビジティングチームがリードを奪う得点を記録したが、ホームチームがリードを奪い返すことができなかった場合。
(6) 正式試合として成立した後に、同点で打ち切られた場合。

 リーグ会長による指示がない限りは、本項の(1)(2)(6)によって終了となった試合については、7.01(c)の規定による正式試合となりうる回数が行なわれていない限りこれをサスペンデッドゲームとすることはできない。
 本項の(3)~(5)の理由で打ち切りが命じられたときは、行なわれた回数には関係なく、これをサスペンデッドゲームとすることができる。

本項に規定されている理由だけで打ち切られた試合がサスペンデッドゲームとなり、それ以外では認められない、というのが公認野球規則の記述です。

高校野球における「継続試合」

高校野球は、2022年から天候不良によるノーゲームやコールドゲームの運用を廃止し、中断という形をとることとなりました。トーナメント方式の一発勝負で行うことから、ゲリラ豪雨などの急な悪天候があっても、できる限り9回まできちんと試合を行えるようにするという配慮や、一方でノーゲーム・再試合としないことで、選手の負担を軽減するねらいもあるようです。

ただし、先ほど確認した通り、サスペンデッドゲームは規則7.02で規定されている理由でなければ適用できません。

そのため、高校野球特別規則において「継続試合」として別ルールで定めています。

高校野球特別規則22. 継続試合

高校野球ではサスペンデッドゲーム(規則 7.02)は適用せず、天候状態などで球審が試合の途中で打ち切りを命じた場合は、継続試合として翌日以降に試合を行う。

(1)

(2) 継続試合の対象は以下の通りとする。
 天候状態などで球審が試合の途中で打ち切りを命じた場合は、行われた回数に関係なく、翌日以降に勝敗を決する(通常は9回、タイブレークになった場合も含む)まで継続して試合を行う。

(3) 継続試合の運用は以下の通りとする。
試合が停止した個所から再開する。
両チームの出場選手と打撃順は、停止したときと全く同一にしなければならないが、規則によって認められる交代は可能である。
停止した試合に出場し、他の選手と交代して退いた選手は継続試合に出場することは出来ない。
継続試合の前には、確認のためオーダー用紙の交換を行う。
 (a) 試合が停止した時の出場選手をオーダー用紙に記載する。
 (b) 出場選手以外の登録選手は控え選手欄に記載する。なお、停止した試合に出場し、他の選手と交代して退いた選手については、名前の上に二重線を引く。

なお、(3)①~③に定められているルールは、サスペンデッドゲームの再開時のルールと同じです。一時中断状態からの試合再開なのですから、書いてあることは当然といえば当然ですが…

まとめ

天候や災害、設備の故障の理由などで試合が続行できなくなった場合、大会規定で規定の回に達したときに一定の得点差が開いた場合に、球審が打ち切りを命じた試合をコールドゲームといいます。

高校野球では、得点差によるコールドゲームは地方大会で行っていますが、甲子園大会では行っていません。また、2022年から、天候等が理由で試合続行が困難になったときは、コールドゲームではなく、継続試合を行っています。

野球観戦のお役に立てれば幸いです。

*1:得点差によるコールドゲームを、「公認野球規則に基づき…」として紹介している記事が散見されますが、明確に誤りです