numの野球・サッカーのルール解説

野球やサッカーの観戦をしていて、ルールが分からず「今のはなんでこういう判定なの?」と疑問に思うようなプレーに、競技規則から判定の理由についてアプローチします。

DOGSOはペナルティーエリア内ではSPAになる?――サッカーのルールのよくある誤解

ジャッジリプレイ効果もあって、DOGSOという用語はサッカーファンにも浸透してきたようですが、「DOGSOはペナルティーエリア内ではSPAになる」という認識の方がいらっしゃるようです。

それ、実は誤解です。

 

DOGSOとは?

DOGSOとは、Denying an Obvious Goal-Scoring Opportunity の略で、「決定的な得点機会の阻止」という意味です。 DOGSOの条件を満たすファウルによって決定機を阻止した場合、反則した選手には、原則レッドカードが提示されます。
DOGSOについて詳しいことは▼こちらで。

num-11235.hateblo.jp

SPAとは?

SPAとは、Stopping a Promising Attackの略で、「大きなチャンスとなる攻撃の妨害」のこと。DOGSOの4要件を参考に、「DOGSOの要件を全て満たしてはいないものの、大きなチャンスを阻止した」場合に適用されます。SPAであると主審が判断した場合、反則を犯した守備側競技者は、イエローカードが提示されます。

ペナルティーエリア内のDOGSOではイエローカードが出るけど?

SPAが「DOGSOとまでは言えない攻撃の妨害」のことなので、ペナルティーエリア内でDOGSOを犯したら、それはDOGSOで間違いありません。ただし、ペナルティーエリア内で、ボールにチャレンジしようとして反則を犯し、DOGSOやSPAと判断されたものについては、懲戒罰が一段階下がることとなっています。

つまり、DOGSOがSPAになるわけではありませんが、DOGSOだとイエローカードが提示されるルールになっています。

実例で確認!

PA内のDOGSOで、イエローカード

下の例では、ゴールキーパーペナルティーエリア内で攻撃側競技者を倒してしまいました。主審は、この反則はDOGSOで、ボールにチャレンジしようとした結果なので、攻撃側にPKを与えた上で、ゴールキーパーイエローカードを提示しました。

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PA内のDOGSOで、レッドカード

もちろん、ボールにチャレンジしようとせず、攻撃側競技者を手でつかんだり、押したり、引っ張ったりした場合は、懲戒罰が一段階下がりません。

下の例では、守備側選手が後ろから手で押して攻撃側選手を倒したので、主審はこの反則をDOGSOでボールにチャレンジしていないと判断し、攻撃側にPKを与え、守備側選手にレッドカードを提示しました。三重罰(PK、一発退場、次節出場停止)となります。

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