
今回は、タッグアップ(タッチアップ)に関連して、知っておいてほしいルールを紹介します。ルールを正しく学べば野球がより楽しくなるし、チームがより強くなります。
野手が捕球し損ねてお手玉!走者はどうする?
2025年5月24日のドジャースvsメッツ戦で、3回表のドジャースの攻撃で、こんなプレイがありました。
右中間に飛んだフライを捕球しようとした瞬間に、中堅手と右翼手が接触してはじいてしまい、その直後に中堅手が落とさず捕球しました。二塁走者は、野手が打球をはじいた後、中堅手が捕球する前にタッグアップ(タッチアップ)で三塁に向かいました。

完全捕球する前に離塁したのに、なぜセーフ?
この動画内の実況、解説者ともに「二塁走者は、右翼手が捕球する前に離塁したのでアウト」と考えていたようなのですが、チャレンジの結果、判定は「セーフ」で変わりませんでした。なぜなのでしょう。
このプレイに適用されるルールは、公認野球規則5.09(a)(1)の【原注2】にあります。
公認野球規則5.09(a) 打者アウト
打者は、次の場合、アウトとなる。
(1) フェア飛球またはファウル飛球(ファウルチップを除く)が、野手に正規に捕らえられた場合。
【原注2】 野手がボールを地面に触れる前に捕らえれば、正規の捕球となる。その間、ジャッグルしたり、あるいは他の野手に触れることがあってもさしつかえない。
走者は、最初の野手が飛球に触れた瞬間から、塁を離れてさしつかえない。(以下略)
つまり、このプレイに即して言うと、「中堅手のグラブに触れた瞬間」から、走者はタッグアップ(タッチアップ)をして次の塁に走り始めてよい、ということです。
したがって、残念ながら、実況・解説者ともに(そして恐らく二塁でアピールプレイをした遊撃手も)、正しいルールを理解していなかったということになります。
完全捕球する前に離塁してもいい理由とは?
さて、野手が完全捕球したときではなく、飛球に触れた瞬間から離塁してよいというルールなのですが、なぜこうなっているのでしょう。
その理由を実演込みで解説してくれる動画がありました。
ランナーがタッチアップをする際、外野手の完全捕球を待たなくても良いことを知っていますか?デモンストレーションをチェックしてみましょう!#字幕付き動画 pic.twitter.com/V2n2vEvwDM
— MLB Japan (@MLBJapan) 2018年5月15日

外野手がフライを捕球せず、わざとボールをお手玉して内野まで運んで来たとしたらどうですか。完全捕球するまで走者が離塁できないルールだと、明らかに走者に不利ですね。だから、走者は、最初の野手が飛球に触れた瞬間から走り始めてよいルールになっているのです。
“捕球前に走ったらアウト”は間違い!
- お手玉や他の野手への接触などがあっても、野手がボールを地面に触れる前に捕らえれば正規の捕球とみなされる。
- しかし、タッグアップ(タッチアップ)は「最初に野手がボールに触れた瞬間」から可能。完全捕球を待つ必要はない。
- 実況や解説が誤認するほど、このルールの理解には注意が必要。
- このルールは、野手の“わざとお手玉”による走者の不利を防ぐために設けられている。
ルールを知れば、野球がより楽しくなるし、チームがより強くなります。ぜひ知識として知っておいてほしいルールです。