
今回は、X(旧Twitter)上で話題となった、2025年4月19日のJR東日本カップ2025 第4節 筑波大学vs桐蔭横浜大学戦 のシーンを取り上げます。
主審にボールが当たったら、その後はどうなる?
審判は石ころではないという理解が進んだ(?)一方、審判にボールが当たったら必ずドロップボールになるという認識の人もいるようで、これまたきちんとしたルールの理解が必要なようにも思います。
ルールに基づいて確認してみましょう。
まずはプレーを見てみましょう
JR東日本カップ2025 第99回関東大学サッカーリーグ戦 1部 第4節 筑波大学vs桐蔭横浜大学 54分のシーンです。
桐蔭横浜大(白)の選手がパスを出そうとしたところ、主審に直撃。ボールはそのままパスを出した選手に戻ります。
このボールを筑波大(青)の選手が奪うと、そのままドリブルで上がってシュート。筑波大の得点となりました。
主審にボールが当たったらプレーが止まる?
一時は「審判は石ころ」という誤った解釈がまかり通っていたのですが、今回は、「主審に当たったんだからドロップボール」と桐蔭横浜大ベンチから猛抗議があったようで、これもまた誤った解釈であると感じます。
サッカー競技規則2024/25の第9条には、このように書かれています。
第9条 ボールインプレーおよびボールアウトオブプレー
1. ボールアウトオブプレー
ボールは、次のときにアウトオブプレーとなる。
・グラウンド上または空中で、ボールの全体がゴールラインまたはタッチラインを越えた。
・主審がプレーを停止した。
・ボールが審判員に触れ、競技のフィールド内にあり、次のようになった場合、
・チームが大きなチャンスとなる攻撃を始める。または、
・ボールが直接ゴールに入る。または、
・ボールを保持するチームが替わる。
こうしたすべてのケースでは、プレーは、ドロップボールによって再開される。2. ボールインプレー
ボールは、審判員に触れる、またはゴールポスト、クロスバー、コーナーフラッグポストからはね返って競技のフィールド内にある場合も常にインプレーである。
第9条の2.から先に考えましょう。
ボールが審判員に触れても、競技のフィールド内にある場合は常にインプレー。
つまり、原則は、「審判は石ころ」扱いです。
しかし、第9条の1.により、審判員に触れて次のようになったとき、アウトオブプレーになります。いわばこちらが「アウトオブプレーになる場合の例外規定」と考えるのが良いでしょう。
- チームが大きなチャンスとなる攻撃を始める。
- ボールが直接ゴールに入る。
- ボールを保持するチームが替わる。
最初の条件である、大きなチャンスとなる攻撃を始める主語が「チーム」になっているのが厄介ですが、これは、主審にボールが触れる直前にボールを保持していたチームのこと。今回の場合は桐蔭横浜大です。
また、ボールを保持するチームが替わった場合もアウトオブプレーになると書かれています。今回の場合は桐蔭横浜大から筑波大に変わった場合ということになります。
ルールに基づいてプレーを確認しよう
改めて今回のプレーを確認してみましょう。
まず、白の選手がパスを出し…

ボールが主審に当たって…

パスを出した白の選手にボールが戻り、白の選手がトラップしました。

この通り、白から出たパスが、主審に当たって、白にボールが戻っているので、ボール保持チームは変わっていません。
したがって、アウトオブプレーになる条件を満たしていませんから、インプレーが続きます。
このあと、白の選手がボールに対してプレーを止め…

青の選手がプレーされていないボールを取って、ドリブルを始めました。

青の選手がドリブルを始めたことでボール保持チームが変わったのではないかという意見もあるでしょうが、冷静に考えると、単に白からボールを奪っただけのことです。
そのため、主審はホイッスルを吹いてプレーを止めるということをしませんでした。
まとめ
ボールが審判員に触れても、競技のフィールド内にある場合は常にインプレー。
つまり、原則は、「審判は石ころ」扱いです。ただし、審判員にボールが触れた後、
- チームが大きなチャンスとなる攻撃を始める。
- ボールが直接ゴールに入る。
- ボールを保持するチームが替わる。
のいずれかが起こったときに限りアウトオブプレーとなって、試合はドロップボールで再開となります。
今回は、主審に当たってはね返ったボールが、パスを出した本人に戻ってきたのでボール保持チームが変わっておらず、(アウトオブプレーになっていないのに)選手がボールにプレーすることを止めた直後に相手チームにボールを奪われたということです。
主審にボールが当たった瞬間、プレーが止まったかのような雰囲気になりましたが、自分にボールが当たったにもかかわらず冷静に状況を判断してプレーを止めなかった主審の判断は的確だったと私は思います。